DK-SIS白書2022_opt_mosaic
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1業界総粗利は横這いもコロナ禍前の7割強に留まるDK-SISから推定される2021年の業界総粗利は、2.39兆円(対前年+0.04兆円)で、2020年と比較して横這いとなった。また、2021年の売上規模は14.6兆円(対前年変わらず)で、こちらも2020年と比較して横這いとなった(第1章5節参照)。粗利規模・売上規模ともに前年並みを維持したが、コロナ禍前の7割強に留まっており、業界環境は厳しい状況が続いている。213年ぶりに4円パチンコの遊技時間・粗利が前年を上回る2021年のパチンコ機1台当たりの業績を見ると、遊技時間2時間49分(対前年変わらず)、粗利2,196円(対前年+188円)と、2020年と比較し遊技時間は横這い、粗利は増加となった。また4円パチンコを見ると、遊技時間2時間22分(対前年+3分)・粗利2,925円(対前年+270円)となり、特に粗利の増加が目立っている。また、4円パチンコの遊技時間・粗利がともに上昇したのは実に13年ぶりとなる。月間の業績を見ても、2021年の4月以降はほぼすべての月で2020年の業績を上回った。2 2021年の業界考察DK-SISで見る業界動向13パチンコ・パチスロ別で見ると、粗利規模はパチンコ1.41兆円(対前年+0.16兆円)・パチスロ0.98兆円(対前年-0.12兆円)に、売上規模はパチンコ8.2兆円(対前年+1.0兆円)・パチスロ6.4兆円(対前年-1.0兆円)となった。パチンコの市場規模が大幅に拡大した一方でパチスロの市場規模が大幅に縮小しており、新規則機への入替の影響が大きく表れた。警察庁発表によるパチンコ機の設置台数は約234万台(対前年-9万台)と約4%減少した。一方でパチンコ全体での業界総粗利は1.41兆円(対前年+0.16兆円)と大幅に増加した。設置台数は減少したものの、1台当たりの粗利が増加したことに加えて、2020年はGW前後の休業要請によって2021年より営業日数が少なかったことから、2021年のパチンコ業界総粗利は大幅増となった。4円パチンコの業績が好調となった要因として、最も設置比率の大きいハイミドルタイプで2021年の遊技機利益(推定される業界全体の新台購入費用を業界総粗利から差し引いた金額)は1.69兆円(対前年-0.11兆円)で、2020年と比較して下落した。旧規則機の完全撤去に向けて遊技機販売台数が2020年と比較して大幅に増加(前年比+23%)し、遊技機購入費用が嵩んだことが遊技機利益の圧迫に繋がった。2022年はまず4円パチンコの業績上昇傾向を定着させることが重要である。さらには現状業績が芳しくないパチスロについても、6.5号機での規制緩和やスマートパチスロの登場等によって、少しでも業績貢献できる環境を整えることも重要となる。まだまだ課題は多いものの、決して暗い未来ばかりではなく、2022年は業界の転換期ともなり得る1年なのではないかと考える。業績貢献する機種がコンスタントに登場し、業績が好調に推移したことが挙げられる。実際にハイミドルタイプの設置シェアもこの1年で上昇し、1円パチンコやパチスロを4円パチンコにする動きも目立った。一方で4円パチンコの遊技時間粗利に目を向けると、2021年は1,240円(対前年+100円)と上昇幅が目立っている。このような遊技時間粗利の高騰は4号機から5号機への移行後においても顕著であった。それ以降パチンコの業績不振を招く結果となった過去を教訓とするならば、現状の遊技時間粗利高騰は好調な推移に水を差しかねない懸念材料である。この遊技時間粗利は4号機から5号機への完全移行時(2008年)の正月営業時1,180円よりも高い状況となっている。安定している業績を維持するためにはファンに対して過度な負担をかけない適正な活用が必要と考える。

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