DK-SIS白書2022_opt_mosaic
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2 2021年の業界考察DK-SISで見る業界動向10【新型コロナウイルスによる影響】 2021年も2020年に引き続いて新型コロナウイルス感染症によって、様々な業界において活動が大きく制限された1年となった。ホール企業においても、他業界と同様に多大なる影響を受け、コロナ禍前の2020年3月以前と比較してファンの戻りが鈍く、経営を取り巻く環境が厳しくなっている。また、遊技機メーカー・周辺機器メーカーにおいても、コロナ禍による半導体生産の縮小に加えて、コロナ禍後の経済活動回復に伴う半導体需要の増加が相まって、世界の半導体不足が深刻になっており、遊技機や周辺機器の生産が思うように進められず、企業活動の大きな障害となっている。【DK-SISが推定する市場規模(売上・粗利)】 DK-SISが毎年推定している業界の市場規模を見ると、2021年の売上規模は14.6兆円(対前年-0.1兆円)と2020年に引き続き新型コロナウイルスの影響が大きく、2020年と同程度に留まった。またDK-SISで最も重要な指標と考えている2021年の粗利規模は約2.39兆円(対前年+0.04兆円)となり、こちらも2020年と同程度となっており、依然として業界環境は厳しい状況が続いている。【全店業績】 遊技機1台当たりの業績に目を向けると、遊技時間2時間52分(対前年-7分)・粗利2,161円(対前年-18円)となっており、遊技時間は対前年で減少したものの粗利は横這いとなった。結果として遊技時間粗利は2020年の730円から20円上昇し、750円となった。【パチンコについて】 パチンコにおいては、遊技機1台当たりの遊技時間2時間49分(対前年変わらず)、粗利2,196円(対前年+188円)となった(第1章3節参照)。4円パチンコで見ると、遊技時間2時間22分(対前年+3分)、粗利2,925円(対前年+269円)となり、遊技時間・粗利が上昇に転じた。4円パチンコの遊技時間・粗利が上昇したのは、パチスロが4号機から5号機へと完全に移行した2008年以来で、実に13年振りとなる。4円パチンコの業績が上昇した要因として、複数の好業績となった新規則機種の登場が挙げられる。その一方で4円パチンコの遊技時間粗利は1,240円(対前年+100円)と前年と比較して活用が辛くなっており、この数値は過去最高である。パチスロ6号機の不振をパチンコで補う動きが顕著となっていることは大きな懸念材料である。【パチスロについて】 パチスロにおいては、遊技機1台当たりの遊技時間2時間57分(対前年-18分)、粗利2,106円(対前年-339円)と、パチンコとは傾向が異なり業績が2020年から大幅に下落した(第1章3節参照)。コロナ禍前から約30%の粗利減少となり、低価貸し営業を含んだパチンコと粗利が2010年以来11年ぶりに逆転している。20円パチスロで見ると、遊技時間2時間56分(対前年-18分)、粗利2,325円(対前年-393円)と、2020年に引き続いて大幅な業績下落となった。6号機の業績が引き続き低迷していることが主な要因である。20円パチスロの遊技時間粗利は790円(対前年-50円)と、4円パチンコとは逆に前年と比較して低くなっている。高コイン粗利で活用された5号機の撤去に加えて、6号機の業績が低迷している中でも活路を見出そうとした結果と考えられる。しかしながら業績悪化が止まらない現状では、しばらくの間は業績の安定しているパチンコへと軸足を移す方が効率的なのではないかと考える。総括2 2021年の業界考察

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