DK-SIS白書2020_opt_mosaic
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1業界総粗利の下落傾向が続く DK-SISでは業界総粗利こそが業界の規模を表す最も重要な指標であると考えている。DK-SISから推定される2019年の業界総粗利は、3.24兆円(対前年-0.14兆円)とDK-SISで集計を開始した1995年以降での最低値となった。さらに2019年の売上規模は20.0兆円(対前年-0.7兆円)で、かろうじて20兆円を維持したもののこちらも下落が続いている(第1章5節参照)。2パチンコ業績はわずかに下落 2019年のパチンコ機1台当たりの業績を見ると、稼動時間3.41時間(対前年-0.09時間)、粗利2,442円(対前年-71円)と、ともに2018年と比較して微減となった。ここ数年の推移を見ると、下落幅の大小はあるものの長期にわたって下落傾向が続いている。また、警察庁発表によるパチンコ機の設置台数が約256万台(対前年-8万台)となっており、1台当たりの粗利が微減したこと、台数がわずかに減少したことで、パチンコ全体での業界総粗利が1.72兆円(対前年-0.12兆円)となった。212019年1業界考察DK-SISで見る業界動向  第1章 13 2019年の遊技機利益(推定される業界全体の新台購入費用を業界総粗利から差し引いた金額)は2.55兆円(対前年-0.16兆円)で、2018年と比較して減少した。遊技機販売台数が2018年と比較して横這いとなったことで、業界総粗利の減少分がそのまま遊技機利益の減少に繋がった。 業界総粗利の下落が続いている要因として、1台当たりの業績は横這いに留まったものの、全体の遊技機設置台数が減少したことが挙げられる。 今後の動向を推測すると、パチスロは2019年末に業績を支えた人気遊技機の認定切れに伴う撤去が行われたことに加え、現状ではあまりファンに受け入れられていない新規則機への入れ替えが進むことにより、2020年はパチスロ業績の下落が想定される。一方のパチンコは2019年の業績はわずかに下落したものの、2020年以降については、新規則機に対する懸念が上記のパチスロほどではなく、新規則機への入れ替えによる業績下落はそれほど起こらないと想定される。むしろこれらの影響によるパチスロからパチンコへのファン移動もあるのではないかと考えられる。パチスロの下落分をパチンコでどれだけ埋めることができるかが今後の業績を維持できるかどうかの重要なポイントになると思われる。 2020年に入り「新型コロナウイルス」による影響が大きくなる中、旧規則機から新規則機への入れ替え期限が1年延長された。しかしながら、「新型コロナウイルス」による休業の影響は甚大である。さらには新規則機への入れ替えも負担となることから、両方の観点から閉店を余儀なくされる店舗が増えると想定される。「新型コロナウイルス」による休業に伴う直接的な影響に加えて、閉店の増加に伴う市場台数が減少も想定されることから、2020年は業界総粗利の大幅な減少は避けられないと想定される。業界全体として「新型コロナウイルス」後を見据えた戦略をしっかりと立て、新規則機への移行による影響を少しでも緩和していく方策が望まれる。 パチンコの中で最も台数比率の高い4円パチンコを見ると、稼動時間2.78時間(対前年-0.11時間)・粗利3,202円(対前年-84円)となり、こちらも微減となった。また、20円パチスロと比べて稼動時間・粗利ともに低い状況が続いていることから、パチンコからパチスロへの移行が続いている。 2019年の業績をタイプ別に見ると、設置シェアの多い4円ハイミドルタイプは稼動時間・粗利ともに横這いに留まったものの、4円パチン

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