DK-SIS白書2020_opt_mosaic
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212019年1業界考察10 第1章  DK-SISで見る業界動向総括 2019年の日本経済は緩やかな回復基調が続いていたものの、10月に消費税が10%に増税されたことで消費に陰りが見られ、景気の先行きに対する不透明感が高まっている。そのような中、当業界においても、緩やかな市場規模の縮小傾向に変化がみられず、依然として業界を取り巻く環境は厳しい状況が続いている。 DK-SISが毎年推定している業界の市場規模を見ると、2019年の売上規模は20.0兆円(対前年-0.7兆円)と年々下落傾向が続いている。またDK-SISで最も重要な指標と考えている2019年の粗利規模は約3.24兆円(対前年-0.14兆円)と、ここ数年緩やかながら下落傾向が続いている(第1章5節参照)。 遊技機1台当たりの業績に目を向けると、稼動時間3.85時間(対前年-0.03時間)・粗利2,661円(対前年-41円)となっており、どちらも対前年で横這いに留まった。遊技機1台当たりでは、業績の下落傾向に一定の歯止めがかかった状況といえる。 パチンコにおいては、遊技機1台当たりの稼動時間3.41時間(対前年-0.09時間)、粗利2,442円(対前年-71円)となり、ともに微減している。この数年を見ても、下落幅に大小はあるものの、長期にわたって下落傾向が続いている(第1章3節参照)。また、2019年に登場した新機種の機種貢献データを見ると、2018年と比較して稼動貢献・総合貢献ともに悪化している(第3章3節参照)。2019年は登場した新機種のほぼすべてが新規則機となったが、旧規則機がまだまだ多く残っている中、新機種が貢献しにくい状況だったと推測される。しかしながら、新規則機であっても貢献した遊技機も存在することや、旧規則機と遜色無い推測最大MY等の出玉性能となっている遊技機も登場しており、新規則機に対する不安感はかなり払拭されたようにも感じられる。さらに2019年末には時短機能拡充の「解釈基準」の改正・内規の変更に伴って、今後の新しいゲーム性にも期待できる状況となっており、2021年2月から新規則機のみの市場への移行後も、業績面ではそれほど大きな不安は感じられない状況となっている。 一方パチスロにおいては、遊技機1台当たりの稼動時間が4.54時間(対前年+0.06時間)、粗利は3,003円(対前年±0円)となり、ともに横這いを維持できた(第1章3節参照)。ただ、2019年に登場した新機種の機種貢献データを見ると、2018年と比較して稼動貢献・総合貢献ともに良化はしたものの、総合貢献終了までに償却できた機種の割合が10%に満たず、2018年に引き続いて非常に厳しい状況である(第3章3節参照)。2019年の業績が維持できたのは、あくまでも撤去を控えた旧規則機が好調な業績となったためであり、その中でも特に好調な業績となっていた「バジリスク~甲賀忍法帖~絆」(エレコ)等の人気機種が2019年末に撤去され、2020年前半から業績の下落傾向が顕著に現れている。これら旧規則機の業績を補えるような新規則機の登場がほとんど皆無に近い状況が続いており、2020年以降、さらには新規則機のみの市場に移行した際に、業績を支えられる遊技機の登場が無い限りは業績が大幅に下落する可能性が高いと推測される。 警察庁発表によると、2019年末時点の店舗数は9,639店舗となっており、この2年で1,000店舗近く減少した(第1章4節参照)。2020年から21年にかけては旧規則機の完全撤去を控えており、代替え機を揃えられずに閉店せざるを得ない店舗もあり、店舗数の減少が加速することが想定される。2 2019年の業界考察

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