DK-SIS白書2018_opt
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212017年1業界考察パチンコ業界に影響を及ぼす立法の動き カジノ関連の動きを見ると、2016年12月に「IR推進法」が成立し、2018年4月現在「IR実施法案」の策定に向けた議論が進んでいる。現段階で取りまとめられた概要は以下の通りとなっている。17DK-SISで見る業界動向  第1章  この入れ替えの過程で、2017年は新基準のART系機種が数多く登場した。特に5.5号機は2017年9月が新規設置の期限となったこともあり、非常に多くの機種が登場した。その中では「押忍!番長3」(大都技研)などの大型かつ好業績となる機種や、「パチスロ 聖闘士星矢海皇覚醒」(三洋物産)のように中古機価格が300万円を超える機種も登場した。一方、2017年10・カジノ総数・設置区域は3箇所に限定する。地方公共団体の申請によって、国が評価・判断し設置区域を指定する。・一つの区域に一つのIR施設を一つの事業者が設置・運営する。・「民設民営」を基本とし、区域指定を受けた地方公共団体が民間事業者を選定する。・規制・監視のために「カジノ管理委員会」を設ける。「カジノ管理委員会」は「国家公安委員会」・「公正取引委員会」等と同様に内閣府の外局とする。・日本人に対してはマイナンバーカードで入場回数を制限(週3回、月10回)し、1日単位で6,000円の入場料を徴収する。・事業者の粗利の一定割合と入場料は国に一括納付され、国と認定都道府県等で折半する。 そのような中「IR実施法案」成立の前提となっている「ギャンブル等依存症対策基本法案」が2017年6月に国会へ提出された。衆議院の解散により一旦は廃案となったものの、2017年12月に国会へ再提出され、「IR実施法案」とともに議論が進んでいる。本法案では明確にパチンコ業界も対象となっており、施行の3年以内に「さらなる射幸性の抑制」・「未成年者の入場制月以降に登場した5.9号機のART系機種は非常に少ない上に、業績面でも苦戦している。単に出玉性能が低いだけでなく、有利区間に滞在していることを必ず報知しなければならない点や、ARTの天井機能が無い点など、ARTのゲーム性が大きく制限されていることも要因と考えられる。限」・「依存症患者等への遊技の制限」・「広告宣伝のあり方」・「警告表示・担当者の配置等の体制整備」・「依存症対策の費用負担」・「行政組織の整備」に関して、必要な措置を講じることとしている。 「IR実施法案」について議論が進み、カジノができたとしても最大で3箇所と限定的で入場料等の問題もあり、現段階ではパチンコ業界に対する直接の影響は大きくないと思われる。ただし、「ギャンブル等依存症対策基本法案」の議論が進む中で、世間からの風当たりに対応するためにも、「のめり込み対策」については現段階から準備し、アピールしていくことは重要である。 また、健康増進法の改正も業界に関係する大きな動きとなっている。2020年の東京オリンピックに向けて改正の議論が進んでおり、2018年3月に改正案が閣議決定された。本改正案が成立すると、パチンコホールの中に喫煙専用室を設けることはできるものの屋内原則禁煙となる。喫煙専用室の設置要件は今後議論されると思われるが、ホール内における喫煙環境は劇的に変化する。「先のことだから」と放置せず、今のうちから対応策を考えておくことが必要である。

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