DK-SIS白書2018_opt
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212017年1業界考察2業界総粗利が3兆円割れ、業界総売上も20兆円割れに DK-SISでは業界総粗利こそが業界の規模を表す最も重要な指標であると考えている。DK-SISから推定される2017年の業界総粗利は、2.91兆円(対前年-0.20兆円)とDK-SISで集計を開始した1995年以降での最低値を更新した。さらに2017年の売上規模は18.6兆円(対前年-1.5兆円)で、こちらも下落が続いている。業界総粗利が3兆円を割ったこと、業界総売上が20兆円を割ったことはどちらも集計開始後初めてのことであり、業界規模は縮小傾向が続いている。3パチンコの凋落傾向が続き、台数規模もやや縮小 2017年のパチンコ機1台当たりの業績を見ると、稼動時間3.55時間(対前年-0.18時間)・粗利2,556円(対前年-224円)となり、業績下落に歯止めがかからない状況が続いている。パチンコの中で最も台数比率の高い4円パチンコについて見ても、稼動時間2.94時間(対前年-0.20時間)・粗利3,320円(対前年-302円)となり、とうとう稼動時間が3.00時間を割り込んだ。また、売上について見ると、パチンコでは15,460円(対前年-1,910円)とこちらも落ち込みが目立つ。このような状況の中、比較的業績の高いパチスロへの入れ替えが進み、パチンコの台13DK-SISで見る業界動向  第1章  遊技機メーカーにおいては、規則改正後の出玉性能が抑制されることから、パチンコ・パチスロともに保通協への型式試験の申請数が非常 2017年の遊技機利益(推定される業界全体の新台購入費用を業界総粗利から差し引いた金額)は2.08兆円(対前年-0.14兆円)で2016年と比較して約7%下落した。遊技機購入を控える動きが続いており、2016年に引き続いて新台の販売台数が大幅減少したものの、新機種の価格が高騰していることで、結果的には新台購入費用は7%程度の下落に留まり、遊技機利益の下落率と同程度となっている。 業界総粗利の下落を食い止めるためには、に多くなり、改正規則施行日前の数ヶ月間、1日5件の申込枠に対して10倍以上の抽せんとなる状況が続いた。「ファンを減らさないこと」・「ファン1人当たりの消費金額を維持すること」が必要である。しかしながら、のめり込み問題の解決や、今後も出玉性能を抑える動きが続くことを考慮すると、「ファン1人当たりの消費金額」を維持することは難しい。このため「ファンを増やす」努力が不可欠である。 しかしながら、現状における世間からのイメージを考えると、「ファンを増やす」ことも非常に困難な状況にある。様々な時間消費型レジャーがある中で「ファンを増やす」ためには、まずは社会に対して健全性をアピールできるような環境を整え、ネガティブイメージを払拭することが必須である。 現在の負の連鎖から抜け出すためには、これらのファンを増やすための障害を解決した上で、ファンに選んでもらえるような魅力のあるコンテンツを「適正な価格」(時間粗利)で提供し、地道にパチンコ・パチスロならではの楽しさを伝えることが必要なのではないだろうか。数シェアはここ数年縮小傾向にある。 2017年のパチンコ業績下落の要因として、2016年末にそれまでパチンコの業績を牽引していたマックスタイプの撤去があったことが挙げられる。2017年は、4円ハイミドルタイプの業績が4円パチンコの中で最も高くなった。これはマックスタイプで登場していたメインコンテンツの機種がハイミドルタイプで相次いで登場したためである。しかしながら、パチンコ全体の業績を維持させるには至らなかった。さらに、別の要因として粗利率(=時間粗利÷時間売上)の上昇が挙げられる。実際に2017年の4円パチ

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