DK-SIS白書2018_opt
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212017年1業界考察9DK-SISで見る業界動向  第1章  2017年における日本経済・個人消費は、ともに緩やかな回復基調が続いており、少しずつではあるものの様々な経済施策が実を結びつつある状況となっている。当業界においては業界規模の縮小傾向が続く中、2017年9月には「風営適正化法施行規則及び遊技機規則の一部を改正する規則」が制定・公布され、2018年2月からの施行が決定された。また、これに伴い改正規則施行後に検定が切れる検定機の扱いについて、従来の運用では行われなかった前倒しでの認定が認められる等、規則改正の発表に伴う業界全体の動きが激しい一年となった。 DK-SISが毎年推定している業界の市場規模を見ると、2017年の売上規模は約18.6兆円(対前年-1.5兆円)とここ数年下落が続いており、DK-SISで集計を開始して以来初めて20兆円を下回った。また、DK-SISで最も重要な指標と考えている粗利規模は約2.91兆円(対前年-0.20兆円)と、こちらもここ数年下落が続いており、DK-SISで集計を開始して以来初めて3兆円を下回った(第1章5節参照)。 パチンコにおいては、2017年も業績の下落に歯止めがかからず、光明が見出だせない。業績面での中心となる4円パチンコも同様に厳しい状況が続いている。2016年末で出玉性能の高いマックスタイプ機種が撤去され、これらの後継機が大当り確率1/320に近い「ハイミドルタイプ」として登場したものの、業績の穴埋めをするには至らなかった(第2章2節参照)。 パチスロにおいては、2017年12月1日時点で「新基準に該当しない遊技機」の設置比率を各店舗で30%以下に抑えるという自主規制がほぼすべての店舗で遵守された。業績を牽引している遊技機の撤去により、業績面への影響が憂慮されたものの、2017年の業績は対前年で横這いに留まった。ただ、2017年に登場した新機種の業績は芳しくなく、特に10月以降に登場した5.9号機は非常に厳しいものとなった。 警察庁発表による店舗数は2017年12月末時点で10,596店舗(対前年-390店舗)となっており、減少傾向が続いている。遊技機設置台数は約443.7万台(対前年-8.8万台)となり、ここ数年は緩やかな減少傾向が続いている。内訳を見るとパチンコは約-8.3万台と減少傾向が続いている一方で、パチスロにおいても約-0.5万台とこれまでの増加傾向から減少に転じた。また、店舗当たりの遊技機設置台数は418.7台(対前年+6.8台)と増加傾向が続いている。 2017年の新台販売台数はDK-SISの推定値で約212万台(対前年-35万台)と2年連続で大幅な減少となった。パチンコ・パチスロ別に見ると、パチンコは約141万台(-23万台)・パチスロは約71万台(-12万台)で、比率的にはどちらも同程度の下落率となっている。登場した機種数はパチンコでは横這いだった一方で、パチスロは大幅に増加し、パチンコ・パチスロともに1機種当たりの販売台数は減少した。 2018年以降、IR実施法案の制定が進むにつれ、当業界と比較されることが多くなると想定される。また、2020年の東京オリンピック開催に向け健康増進法(受動喫煙防止)の制定も進んでおり、ホール内での喫煙場所対策も急務となる。 当業界においては、他にも遊技くぎ問題や広告宣伝規制等、解決しなければならない問題が山積している。こういった問題を自ら解決できない場合は、世間からの強い風当たりは避けられない上に、結果として新たな規制へと繋がる可能性が高い。「安心できる遊技環境」を整え総括2 2017年の業界考察

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