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概要

DK-SIS白書2016画像

DK-SISで見る業界動向②2016年の業界考察?総 括第1章9 2016年を総括すると、様々な経済施策が打ち出されたものの、個人消費は前年を下回る月がほとんどとなった。そのような中、当業界においてはパチンコの「検定と性能の異なる可能性のある遊技機」の撤去・回収問題や、パチスロの高射幸性機の撤去問題など、今までの出玉性能の高さに頼った営業が否応なく見直しを迫られ、業界を取り巻く環境がますます厳しくなった一年と言える。 DK-SISが毎年推定している業界の市場規模を見ると、2016年の売上規模は約20.1兆円(対前年-2.2兆円)と、ここ数年の緩やかな下落と比較して大幅な下落となった。またDK-SISで最も重要な指標と考えている2016年の粗利規模は約3.11兆円(対前年-0.21兆円)と、売上規模ほどではないものの大きく下落した。粗利規模はDK-SISで集計を開始した1995年以来下落が続いており、市場規模の縮小に歯止めがかからない状況が続いている(第1章5節参照)。 パチンコにおいては、2016年も業績の下落傾向が続き、下げ止まりの気配が見られない。その主な要因の一つとして4円パチンコの業績不振が挙げられる。撤去・回収問題によって時間売上は下がったものの、時間粗利は高い状態が続いており、ファンにとって遊技しやすい環境になったとはまだまだ言えない状況となっている。 パチスロにおいても、2016年はパチンコほどではないものの緩やかな業績下落となった。2015年以前に登場した機種は引き続き好調を維持したものの、2016年に登場した機種が全体的に不調だったためである。ただ、パチスロの方がパチンコよりも稼動時間・粗利が高いことから、わずかながら遊技機内のパチスロ台数比率は高まった。 警察庁発表による2016年の店舗数は10,986店舗(対前年-324店舗)と下落傾向が続いている。また遊技機設置台数は約452.5万台(対前年-5.5万台)となり、ここ数年は緩やかな下落傾向が続いている。その内訳を見ると、パチンコは8.5万台の減少だった一方、パチスロでは3.0万台の増加と対照的な結果となっている。店舗当たりの平均設置台数は411.9台と、ここ数年と同様に大規模店舗の増加と小規模店舗の淘汰が進んでいる(第1章4節参照)。 2016年の新台販売台数は約247万台(対前年-61万台)と大幅な減少となった。パチンコ・パチスロ別に見ると、パチンコは約164万台(対前年-33万台)、パチスロは約83万台(対前年-28万台)とパチスロの方が下落率は高くなっている。パチンコ・パチスロともにメイン機種の販売台数は好調だったものの、それ以外の機種の販売台数が軒並み苦戦したことでこのような結果に繋がった。 2017年はIR整備推進法案(カジノ法案)や依存症問題に絡み、当業界への世間からの風当たりがますます厳しくなると予想される。その上、パチスロにおいては業績好調な「新基準に該当しない遊技機」の撤去や、5.9号機の登場により遊技機の出玉性能が抑制されることから、現状よりも厳しい環境に晒されると考えられる。 しかし、これらの逆風は業界にとって必ずしもマイナスだけではなく、プラスにも作用すると考える。カジノ法案や依存症問題については、世間からの注目を集めていることから、これらの問題に誠実に対処することで、業界の健全性をアピールすることができる。また、出玉性能が低い遊技機のシェアが高まることは、ファンからすれば遊技しやすい環境の一つの要素が整えられる② 2016年の業界考察