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概要

DK-SIS白書2015画像

DK-SISで見る業界動向②2015年の業界考察200第1章11? 業界総粗利の下落に歯止めかからず DK-SISでは業界総粗利こそが業界の規模を表す最も重要な指標であると考えている。DK-SISから推定される2015年の業界総粗利は、3.32兆円(対前年-0.18兆円)とDK-SISで集計を開始した1995年以降の最低値を10年連続で更新し続けている。さらに2015年の売上規模は22.3兆円(対前年-1.2兆円)で、こちらも下落が続いており、2015年も引き続き業界全体にとって非常に厳しい1年となった。 2015年の遊技機利益(推定される業界全体の新台購入費用を業界総粗利から差し引いた金額)は2.26兆円(対前年-0.17兆円)で2014年と比較して5%程度減少した。業界総粗利は前年と比べて下落したものの、遊技機費用は横這いとなったことで、業界総粗利の減少分がそのまま遊技機利益の減少に繋がった。遊技機費用が横這いになった要因として、遊技機の総販売台数がやや減少した中で、遊技機価格が若干上昇し、相殺されたことが挙げられる。 業界総粗利の減少が続いているが、これは業界が縮小し続けていることとほぼ同義である。業界総粗利の減少を食い止めるためには、「ファン1人当たりの消費金額を増やすこと」もしくは「ファンを増やすこと」のどちらかが必要である。しかしながら、「ファン1人当たりの消費金額」を増やすことは、既に限界を超えている状況であると考えられ現実的ではない。さらに遊技機の出玉性能に制限が加わることで、1度の遊技における消費金額はむしろ減少に向かうと想定されるため、今まで通りのファン層のみでは現状の業界規模すら維持することは困難である。 このことから今後は「ファンを増やすための努力」が急務である。ファンを増やすためには「ロストファン(去ってしまったファン)を呼び戻すこと」と「新規ファンを獲得すること」の両面を考える必要がある。 そもそもロストファンはなぜやめてしまったのか。他の魅力あるコンテンツへ流出したことも考えられるが、「時間のムダ」と感じてしまうような活用や、いわゆる「事故待ち」と呼ばれるようなゲーム性、さらには過剰な演出によるマンネリ感にも問題があったのではないかと考えられる。 では新規ファンはなぜ増えないのであろうか。遊技を始めるきっかけが少ないことはもちろんながら、一般論としてそもそもお金がかかりすぎることや遊技機のゲーム性が複雑になりすぎていることによる入店への「敷居の高さ」も要因に挙げられる。また業界全体として不透明であり、信用されていないことも大きな要因であると思われる。 現状は既存ファンに甘える事で新規ファンの獲得を怠ったツケが来ている状況なのではないかと考えられる。さらに、既存ファンに対して実施している戦略すらも、既存ファンに受け入れられず、離反を招いている状況である。ロストファンの掘り起こし、さらには新規ファンの獲得のためには、業界の透明性の確保はもちろんであるが、出玉性能のみに頼らずとも他のコンテンツに負けないような魅力的な遊技機の開発と、ファンに厳しくなり過ぎない活用が必須条件である。パチンコを手軽で遊びやすい娯楽という本来の姿に戻すことは、出玉性能に制限が加わる今だからこそ実行しなければならないことであり、業界の未来のためにも真剣に取り組む必要があるのではないだろうか。