ブックタイトルDK-SIS白書2011

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概要

DK-SIS白書2011

第1章Chapter 122011年の業界考察DK-SISで見る業界動向業界総粗利は、DK-SISによる2011年の推定値であるが、およそ3.82兆円(対前年比-0.13兆円)と2010年に引き続きDK-SIS集計開始以来最低を更新した。業界総粗利はファンの総消費金額と等しいことから、「ファン1人当たりの消費金額の減少」・「ファン人口の減少」、この2つのどちらかもしくは両方が起こっていることになる。ただ、どちらにせよファンから得られる金額の減少は業界規模の縮小を意味しており、業界にとっては厳しい環境が続いていると言える。また2011年の遊技機利益(業界総粗利から予想される業界全体の新台購入代金を差し引いた金額)は2.58兆円(対前年比-0.18兆円)となり、こちらも集計開始以来最低となった。遊技機の総販売台数は減少したものの、一部の機種に人気が集中したことにより、平均の遊技機購入価格が上昇し、全体の遊技機購入にかかった費用は増加したのではないかと考えている。結果として遊技機利益が減少しており、店舗経営は益々厳しいものとなっていることが分かる。業績悪化の最たる要因は、ほとんどのホールにおいて最も設置比率の大きい「4円パチンコの不振」が続いているためであると考える。「4円パチンコの不振」については次の項で詳しく考察を行いたい。また業績が安定し台数シェアも増え続けていた1円パチンコにおいても2011年に入り台粗利が下落しており、飽和傾向が見て取れる。逆にパチスロの業績は好調が続いているものの、台数比率の多いパチンコの不調を補うには至らず、全体としてこのような結果となったと考えられる。また外的な要因として「国民全体の可処分所得の減少」や「地域における人口の減少」等も影響していると考えているため、今後のDK-SISにおいて調査を行っていきたい。前述した通り、2011年は業績だけでなく業界を取り巻く環境も悪化しており、業界自体が縮小傾向にあることは紛れもない事実である。この傾向に歯止めをかけるためには、「時間粗利の上昇→ファンの疲弊→稼動・粗利の減少→さらなる時間粗利上昇」という負のスパイラルを如何に食い止めるかが重要である。時間粗利が上昇している要因として、遊技機購入費用の早期回収を意図した活用や、安易な低価貸しへの移行による過度な4円パチンコへの粗利依存が挙げられるため、これらの問題点を徐々に改善していく必要がある。このような現状を改善できなければ、今後業界が加速度的に衰退していく可能性も否定できない。この流れから脱却するためには、ファンの裾野を広げ「身近で手軽な大衆娯楽」としての立ち位置を今一度強く意識することが重要であり、メーカー・ホールともに今まで以上の痛みを伴う改革が必要になるのではないだろうか。? 4円パチンコの業績下落が続く2011年の4円パチンコ業績を見ると、稼動時間4.1時間(前年比-0.2時間)・粗利4,260円(前年比-90円)と若干ではあるが下落し、業界総粗利を落とした最大の要因となった(21頁参照)。そのような中、低価貸し営業への移行やパチスロへの入れ替えが進行したが、その圧縮効果も見られず業績の下落が止まらない状況となっている。その要因として、ここ数年4円パチンコの時間粗利が急激に上昇を続け、2011年には1,040円となり、結果的に稼動時間減少に拍車をかけたことが挙げられる(21頁参照)。これは高すぎる時間粗利によってファンの不満が顕在化し、稼動の下落幅が過去最大レベルになった2010年より深刻な状況となっている。タイプ別に見ると、台数シェアの大きいマックスタイプ・ミドルタイプともに業績が2010年と比較して下落した。また、業績の安定していたライトタイプにおいては、業績が2010年と比較して下落しただけではなく、他のタイプの業績をも下回ったことは大きな問題である。ライトタイプの時間粗利は、12