ブックタイトルDK-SIS白書2011

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概要

DK-SIS白書2011

DK-SISで見る業界動向第1章22011年の業界考察Chapter 12?総括2011年の業界を総括すると、3月11日に発生した東日本大震災の影響により、様々な面において業界のあり方を考えさせられた1年であった。地震・大津波による直接的な被害もさることながら、震災直後に電力供給が逼迫したことで関東・東北地区では一般家庭においても輪番停電が実施されることになり、その状況下で営業を行うことに対する業界への風当たりが強まった。一方では、業界全体での取り組みとして、義援金の提供や被災地におけるボランティア活動等様々な貢献が評価される一面もあった。2011年の業界考察DK-SISが毎年推定している業界の市場規模では、2011年の売上規模は約24.6兆円(対前年比-0.7兆円)とわずかではあるが下落した。またDK-SISでは粗利規模こそが業界を表す指標として最も重要であると考えているが、2011年は約3.82兆円(対前年比-0.13兆円)となった。これはDK-SISで粗利規模について集計を開始した1995年以降で最も低く、業界の厳しい現状を如実に物語るデータと言える。パチンコにおいては依然として業績が悪化し続けており、1台当たりの稼動時間・粗利ともに4年連続の下落となった。全体におけるパチンコの設置シェアが大きいことから、結果として業界全体の市場規模・総粗利を引き下げる要因となっている。パチンコ全体の不調が続いている大きな要因として、営業の軸となる4円パチンコの凋落が挙げられる。4円パチンコの業績下落が続く中、ファンにとっての遊技単価に当たる時間粗利を上げざるをえない状況となっており、これがさらなる稼動時間の下落、強いては粗利の下落に繋がるという負のスパイラルから抜け出せなくなっているものと考えられる。また、4円パチンコの業績悪化から、低価貸しに活路を求めるという状況も拡大が続いていたが、2011年の年末にかけてその動きも鈍くなりつつあり、低価貸しパチンコにおいても成熟化・飽和状態の傾向が見て取れる。パチスロにおいてはパチンコとは逆に好調な状況が続いており、1台当たりの稼動時間・粗利ともに昨年に引き続き上昇した。過去に知名度が高かったコンテンツが遊技性を向上させリメイク機種として5号機になり、それらが大量導入された結果、ファンに受け入れられたことがパチスロ好調の大きな要因と考えられる。その結果、完全に5号機となった2008年以降、パチスロは最高の業績となった。パチンコが不調な中、パチスロが全体の業績を支えているが、設置シェアの違いによって全体的には業績が下落しているという構図となっている。2011年のホール数は12,323店舗となり、減少傾向は10年以上継続している。ただし、低価貸し営業の増加もあり、2008年以降の店舗減少は緩やかになっている。2011年のパチンコ新台販売台数は約244万台となり、2010年と比較して約15%の減少となった。逆にパチスロは販売台数が約117万台で、2010年と比較して約20%の大幅な増加となり、昨年と同様に全体的な業績の良し悪しが販売台数に反映された形となっている。ただ、パチスロの販売台数の中身を見ると、特定の機種に販売・人気が集中する状況となっており、メーカー間の格差が益々大きくなっている。業界全体的には明らかに縮小傾向にある現状、広告宣伝規制の再通達により広告等によるイベントに頼った集客が難しくなったこと、換金に関する問題やそれに付随する一物一価の徹底等、まだまだ解決しなければならない問題も山積みとなっている。これらの問題に対して業界全体を挙げて一つ一つ真摯に取り組み、社会的評価の向上に努めること、そしてファンからの信頼を再構築させることが最も重要なのではないだろうか。9