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ロケ編

地球は狭くなかった。

2004年1月27日、日本を出発。日付変更線を越えて同日米国デトロイト着。その日の内にマイアミに飛び同地泊。翌日マイアミからボリビアのラパスへ。ラパスからスクレへ飛び、さらに翌日スクレからは車で8時間かけてウユニへ。同地泊ののち再び車で目的地であるサンファンへ。これが1月31日のこと。丸3日におよぶ長い長い旅程の果てにたどりつくことができました。「地球は狭くなったとよく言われるけど、全然狭くないじゃないか」というのがロケ隊の正直な気持ちだったようです。

しかし、「はるばる地球の裏側まで来た甲斐があった」と思ったことも事実でした。富士山をしのぐ標高3800m。想像していたより小さなオアシスだったものの、日本では望むべくもないような紺碧の空と雲。透明感あふれる空気。光に浮かぶ山。まさに捜し求めていたイメージにふさわしい風景がそこにありました。

リャマたちにも会いました。目は大きく、口はユーモラス。ラクダに似てのんびりとした印象。とくに子リャマはかわいらしく、やんちゃな男の子や甘えん坊の女の子のようです。愛嬌があり、とぼけた表情を見せてくれましたが、野生ではなく、ほとんどが家畜として飼われていたことはちょっと意外でした。

とはいっても人が自由にコントロールすることはできません。リャマたちは自分たちの生活スタイル(?)に忠実に、陽が昇ってしばらくすると水を飲みに集まり、その後は4000mを越す山の草地へ行ってしまいます。日が傾くとまた水を飲みに来るというパターン。したがって撮影のチャンスは朝と夕の2回だけ。現地の人たちの力を借りて、ひたすらリャマたちが集まってくるのを待つロケとなりました。

こうしてアンデス高原とリャマの映像を捉えることに成功したのですが、もう一つ大切な作業が残っていました。そう、音楽です。しかし、この点での苦労はあまりありませんでした。なぜなら、私たち日本人はオアシスの映像に最もふさわしい音楽を知っているからです。喜多郎ミュージックです。グラミー賞も受賞した世界的アーチストですが、この映像には喜多郎さんの音楽しかないというのが制作スタッフの一致した意見でした。

何もないことの幸せと自由。

アンデスの小さなオアシスに集まるリャマたち。そこに流れるゆったりとした時間と漂う空気感が果たしてどれだけ伝わったか……それはCMを観ていただいた皆さんの印象にお任せするしかありませんが、実際に現地に出向いたロケ隊にとっては、いろんなことを考えさせられた時間だったようです。

プランナーは振り返ります。「高地の暮らしには、我々が持っているような便利な物はないし、グルメな食べ物もありません。でも、彼らは屈託がないんですね。我々の基準からすると何もないけど、逆に、何もないことの自由さを持っているように思えます。幸福ってなんだろうということを考えさせられました」。

過酷な大地。電気もない便利さとはかけ離れた世界。余分な情報に振り回されることなく、自由に屈託なく生きる人々。このアンデスの村のような、そこだけで完結した世界が地球上に存在していることに何かほっとしたものを感じたようです。

コーディネーターとして参加した白川さんも「村の人たちはモノがない分、すごく想像力に長けています。話題が一つあれば一日中でもケラケラ笑いながら他愛のない空想話を楽しんだりできるんです」と言い、こう付け加えてくれました。「そう、彼らは頭の中に遊園地やアミューズメントパークを作って、それで遊んでいるんですね」。

撮影を終えたロケ隊は再び70時間以上におよぶ行程を経て帰国します。移動6日撮影2日という、おそらくCM撮影史上、最も長い距離を移動したロケはこうして終わりました。

企画編

撮影スケジュール 2004

1月27日 12:45 名古屋発~10:30 デトロイト着、13:30 デトロイト発~16:23 マイアミ着(泊)
1月28日 23:10 マイアミ発~
1月29日 ~10:30 ラパス着(標高4,000m)、14:25 ラパス発~16:20 スクレ着(泊)
1月30日 スクレ昼出発~8時間(ジープ)~ウユニ着(泊)
1月31日 ウユニ発~7時間(ジープ)~サンファン着(現地) 撮影開始
2月1日 撮影
2月2日 撮影
2月3日 午前中撮影予備、サンファン昼出発~7時間(ジープ)~ウユニ着(泊)
2月4日 ウユニ発~8時間(ジープ)~スクレ着、17:00 スクレ発~19:40 ラパス着(泊)
2月5日 7:50 ラパス発~15:40 マイアミ着(泊)
2月6日 8:00 マイアミ発~11:02 デトロイト着、14:35 デトロイト発~
2月7日 ~18:00 名古屋着