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概要

DK-SIS白書2012

Chapter 122012年の業界考察DK-SISで見る業界動向第1章2?総括2012年の業界を総括すると、東日本大震災から徐々に回復しつつあるが、長引く日本経済の低迷と同様にパチンコ業界の業績も厳しい1年であったと言える。特に2010年から上向いていたパチスロの業績にさえ陰りが見え始めており、業界を取り巻く環境はさらに厳しいものとなっている。2012年の業界考察DK-SISが毎年推定している業界の市場規模を見ると、2012年の売上規模は約24.8兆円(対前年比+0.2兆円)とほぼ横這いとなった。またDK-SISでは粗利規模こそが業界を表す指標として最も重要であると考えているが、2012年は約3.78兆円(対前年比-0.04兆円)と微減となり、DK-SISで粗利規模について集計を開始した1995年以降の最低値を更新し続けるという、業界としては極めて厳しい状況となっている(第1章5節31頁参照)。パチンコは、業績が悪化の一途をたどっており、遊技機1台当たりの稼動時間・粗利ともに5年連続の下落となった(第1章3節19頁参照)。特に設置比率が最も高く、本来営業の軸となるべき4円パチンコの業績に復調の兆しが見えない状況であり、業界全体の業績が低迷を続ける主要因となっている。パチスロは、パチンコと異なりここ数年好調な業績が続いていたが、2012年はその様相に変化が見受けられる。遊技機1台当たりの粗利こそ上昇を続けているものの稼動時間は減少した。ここ数年の粗利上昇は、稼動時間の上昇を伴ってのものであったが、2012年の稼動時間が下落に転じたことで、結果的に時間粗利が上昇しており、業績を落としてしまったパチンコの構図との共通点が多く、大きな懸念材料である。さらに、パチスロの時間売上においても上昇が続いており、高すぎる投資イメージも稼動時間下落の要因と考えられ、遊技機のバランス見直しは急務と言える。2012年のホール数は12,149店舗と緩やかながら減少傾向が続いている。しかしながら遊技機設置台数に目を向けると、この数年で大きな変化が見られないことから、店舗の大型化と小規模店舗の淘汰の構図が見て取れる。2012年の新台販売台数は約384万台(対前年比+23万台)と、業界の粗利規模が下落する中で若干ながら増加した。販売台数が増えたことで、結果として遊技機購入にかかる費用が増え、いわゆる遊技機利益の減少に繋がっている。しかしながら特定の機種に販売・人気が集中する状況は変わっていない上に、2012年はこれらの機種でも期待された結果とならないケースも多く、ホールの経営環境は益々厳しくなっていると考えられる。現状において業界全体としては縮小傾向にある。さらに広告宣伝規制の再通達によりイベントに頼った集客が難しくなったこと、一物一価の遵守や依存症の問題等、業界一丸となって真摯に取り組むべき問題も山積している。これらの問題と正面から向き合い、社会的評価の向上に努めることもファンからの信頼を取り戻すことに繋がるのではないだろうか。9